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ラヴレター─君が遺した日記─

第1章 涙雲


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どんよりと曇った空に

細い煙が糸のように立ち昇って行く





灰色の雲は

雨を降らせる機会を窺って居るように

頭上でくすぶっている





君の最後の温もりを載せて煙りが行く空を

僕はただぼんやりと眺めていた









智子

君は今


何処に居るのだろう







智子

君の肉体は滅んで


今、一筋の煙になって消えていく







智子

ならば


君の魂は何処にあるのだろう







智子

君を形作っていたその精神は


今は、何処をさ迷っているのだろうか











細い煙が最後に糸を引くように空に消えた後

君の親族を呼ぶ、味気ないアナウンスが流れた








君が白い小さな箱に収まって

彼女の兄の手に抱かれて火葬場から出てきたのは


それから、数10分後の事だった





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