社畜女のシンデレラストーリー ≪ONE PIECE≫
第21章 怒りの拳
椿姫と少しでも離れたくなかったカタクリは、自身の膝の上に椿姫を降ろし、片手で椿姫の背中と頭を支えて、もう片方の手で椿姫の打たれた跡のある頬に手を添える。
移動中はずっと椿姫の顔をじっと見つめていた。
時々椿姫がもぞもぞと身体を動かすが、その動きにも動じず、椿姫の居やすい体制のまま支えていた。
しばらくすると、途端に椿姫が身体を震わせる。
カ「(まだ、寒いのだろうか?)」
カタクリは椿姫に包めていた毛布を一旦剥ぎ取り、椿姫を抱えなおして、自身の身体と密着させる。
そして、自身の身体ごと椿姫を毛布で包んだ。
『うぅ"・・・ん"...』
人肌が1番良いのか、椿姫の震えはおさまった。
しかし、今度は小さく呻き声を上げた。
まるで悪夢を見ている様な苦しい表情の椿姫に、何もできない自分を呪う。
カ「(椿姫・・・
姉に嵌められて、家族に売られて、知らねぇ奴らに捕らえられて、知らねぇ場所に連れてこられた。
その先で手足は拘束されて、まともな抵抗もできないまま、椿姫からしたら自分よりデカく、力のかなわない男たちに身体を好き勝手まさぐられて・・・助けが来る可能性もなくて・・・
どれだけ怖かったのだろう?
俺がベッジに見張らせていなければ、椿姫が連れ去られたことに気が付かなかっただろう?
椿姫を失うことにならずに済んで、良かったと思うべきか・・・)」
唸り続ける椿姫にいてもたってもいられず、椿姫の両肩をしっかりと抱きしめた。
そして、部下が後ろを見ていない事を確認して、口元のファーを少し下げた。
念のためバックミラーから見えないように自身の口元を晒して、椿姫の額にキスをした。
まるでこれ以上悪夢を見ないように、幸せな夢を見れるようにと気持ちを込めて。
そして、これからカタクリ自身が椿姫を護っていくんだという誓いのように。