第2章 2、誕生日プレゼント
今日は自分の誕生日、、、!!
まぁ、この年になってしまえば誕生日さえも仕事ですが。
でも、この仕事を出来て良かったことと言えば、、、
『ねぇ、ゆめちゃん。このガムってぶどう味ある?』
大好きな人に会える事だ。
最初は男の大人が駄菓子屋に来るなんて不思議な人だな、程度に思っていたが、殆ど毎日来てくれるようになって、話をする度に好きになってしまったのです。
頑張って頑張って好きって気持ちを隠していつも通りの私を演じる。
「あっ!ありますよ~!ちょっと待っててくださいね!」
裏にガムの在庫を取りに行き、乱歩さんに手渡せばもうお会計をするみたい。
「ガムに、チョコレートに、いつものねるねるねるねるですね!チョコレートなんて珍しいですね?」
『あー、これは。』
はい、と私に向けられた小さなチョコ菓子。訳が分からず首を傾げると
『今日、ゆめちゃんの誕生日でしょ?だから、はい。』
手を掴まれチョコ菓子を握らされる。手、手、触られた、、!
それに、誕生日覚えててくれたんだ!
思わず大きな声で
「ありがとうございます!大事に飾っておきます!」
なんて言えば薄い目が弓なりになって
『いや、チョコなんだから溶ける前に食べてよ。』
と、けらけら笑ってる。それが何だか可愛くて私も笑ってしまう。
お会計が終わり、乱歩さんを見送くろうとすると
『あ。忘れてた』
いきなり扉の前で立ち止まる乱歩さん。危うくぶつかるところだった、、、!ドキドキする気持ちを抑えながら「どうしたんですか?」
と聞いてみると
『さっきのチョコだけじゃ足りないから、これも』
と、黒いベストの胸ポケットから出されたのは棒付きのキャンディ。乱歩さんが飾り付けたのか、少し不格好なピンク色のリボンが目に入る。
「飴もくれるんですか!えへへ、優しいですね。」
とその飴を受け取れば、なんとも言えない表情をする彼。
思わず首を傾げると、
『やっぱり分かってない。』
「え、、?」
『それ、僕なりの告白だから。』
じゃーねー、とガムを頬張り探偵社へ向かって帰る乱歩さん。
こくはく、、、?告白!?!?
-------------キリトリセン--------------
お菓子をプレゼントする時の意味です。
チョコ『あなたと同じ気持ち』
飴『あなたが好きです』