第1章 1、キスとは
『ねぇ、』
ふと好きな人、、乱歩に呼ばれ読んでいた本から目を背け乱歩を見る。
その表情はどこか不機嫌で。
「んー?どしたの?」
すこし膨れた頬に手を伸ばしてツンツンと押してみれば唇を尖らせてくる。
あ、ぷるぷるしてるなぁなんて思っていたら、その唇から予想外の言葉が出て来る。
『ゆめから1回もキスされた事ない。して欲しいんだけど。』
「えっ、、、そうだっけ?」
『今日探偵社で言われたの!彼女さんからキスされたことありますか!って!』
キスされたい!キスされたい!と子供の様に寝転がる乱歩。
確かにキスはもちろんその先だってした事はあるけれど、自分からした事は無かった。
そう思いむすくれた頬に手を伸ばして、ちゅ、と軽く触れるキスをしてやれば
『、、、』
してくれると思わなかった。なんて目を開いて言うものだから
「もっとしてほしかった?」
って微笑んでみる。
ニヤリ、と乱歩の口角があがり、起き上がって私の瞳を覗き込んでは私の後頭部に手を回して
『うん、もっと』
なんて言って唇をぶつけてくる。ねっとりとした熱い舌が私の唇をこじ開けて、舌と舌を絡め合って、、、
理性が飛びそうになった所で焦って口を離す。
こんなの、こんなの、、、
「私が思ってるちゅーじゃないっ、、、!!」