第23章 櫻井家+αの沖縄(どたばた)家族旅行!(後編)、の巻
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「なんか、長閑だねぇ」
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海岸線を
俺に寄り添うようにして、のんびり歩く君が
潮風に遊ばれる長い前髪を
その、美しい指で払いながら、呟いた
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「そうだねぇ…観光地から離れると、人も疎らだし…長閑だよねぇ」
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寄り添って歩く君の
その、華奢な肩を抱き寄せて
穏やかな波を寄せる砂浜に、目を向ける
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そこには、数人の地元の人らしき人が
敷物を広げて、のんびりとお弁当を食べているのが見えた
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「そう言えばさ、前にテレビで言ってたんだけど
沖縄の人って海で泳がないんだってさ」
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俺と同じように、砂浜に視線を送りながら
君が、そっと俺の肩に小さな頭を預けて呟く
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「へぇ……何で?」
「ん〜……忘れちゃった(笑)」
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頭を肩に預けたまま、君が眼だけで俺を見て
にっこりと微笑む
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君の微笑みは
何時でも
何処でも
瞬時に俺の胸を、君への愛おしさで溢れさせる
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あぁ、好きだなぁって
あぁ、幸せだなぁって
心から思う
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「何だろうねぇ、東京に住んでる人が雷門に行ったことがあんまないのと同じかねぇ?」
「え〜?翔くん、それはなんか違わない?(笑)」
「そうかなぁ?」
「そうだよ(笑)」
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何処までも続いて行く海岸線を
君と2人
ぴったりと寄り添い歩きながら
取り留めのない話しをする
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特別な事は何もない
長閑な、のんびりとした午後
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それは
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2人でしか味わえない
最高に、贅沢な休日
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