第23章 櫻井家+αの沖縄(どたばた)家族旅行!(後編)、の巻
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「はい、此処よ」
「操舵室、ですか?」
母さんに手を引かれて船の操舵室のドアの前に立った智くんが
ドアに書かれた「操舵室」の文字を見て、可愛く首を傾げた
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せっかく邪魔者(←二ノの事ね(笑))が居なくなって、思う存分智くんとイチャイチャ出来ると思ったのに
今度は酔っ払った親父に邪魔をされた
それを止めに来てくれたと思った母親に、智くんを持って行かれそうになり
俺は慌ててその後を追ったのだが
母親に連行された智くんと一緒に、辿り着いた先が、船の操舵室だったと言うわけだ
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「あ〜、来た来た!さとちゃん待ってたのよ♪
……って、何でお兄ちゃんまで居るのよ」
操舵室に入ると、中で待ち構えて居た妹が俺を見るなり嫌な顔をした
「ウルサい!俺と智くんはな、何時いかなる時もセットなんだよ、セット!!」
「何よソレ、鬱陶しいわねぇ!ねぇ?さとちゃん!!」
妹は、思い切り嫌そうな顔で俺を見た後、飛びっきりの笑顔で智くんを見た
智くんはそんな妹を見ながら、顎に手を置いて、少し首を傾げた
「鬱陶しくなんか無いよ?
寧ろ僕は、何時でも翔くんが傍に居てくれた方が嬉しいし////」
「智くぅ〜…」
「さとちゃん可愛い♪」
何時も通り可愛さを振りまきまくる智くんにハグしようとしたら
妹に先を越された
「Σな、何しやがるんだこの野郎ッ!!」
「残念ながらあたしは野郎じゃないわよ
この旅行の数少ない女性です、女性!」
「そう言う意味ぢゃねぇよッ!!!(怒)」
「んッ!!」
妹と俺の言い争いを遮る様に、七海が自分が座っている椅子の端っこを叩いた
「ん?七海どうしたの?」
声を掛ける妹をチラッと見てから、七海は智くんをガン見してまた椅子を叩いた
「んッ!!」
「あ〜……さとちゃんに其処に座って貰いたいのね?(笑)」
「ん。」
妹は笑いながら智くんを見ると肩を竦めた
「もうさ、この子
昨日一緒に乗った車で並んで座ってからさぁ
すっかりさとちゃんの事気に入っちゃったみたいでねぇ?
誰も自分の隣に座らそうとしないのよ(笑)」
「………」
それを背中で聞きながら、黙々と船を操る茂が、小さく溜め息をついた(笑)
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