第6章 浮気は男の甲斐性? の巻
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今日はバイトがお休み
大概は教授のお家に(翔くんに内緒で)絵を描きに行くんだけど、今日は久しぶりに、ニノのお家に遊びに来ていた
「ねぇニノ、相葉ちゃんってさ何時も夜何時くらいに帰ってくるの?」
「ん〜?何時かな?…二時とか…三時とか?」
「…まさかと思うけど、知らないの?」
「知らないよ。だって俺寝てるし」
近所の洋菓子屋さんで買って来たケーキをつつきながら面倒くさそうに、ニノが言う
「寝てるって…寂しくないの?」
「別に?」
ニノと相葉ちゃんは随分長く付き合っていて、ニノが高校を卒業してすぐくらいから付き合ってるから
かれこれ十年近い付き合いだった
「長く付き合ってるとそんなもんだよ?
大体あのバカが帰ってくんの待ってたら寝るの遅くなってこっちの生活リズムが狂っちゃうし」
「…そっかなぁ」
僕だったら眠くても絶対待ってるのにな
「アンタ今自分だったら起きてるのにとか思っただろ?」
「えっ?」
ニノがケーキの上に乗っかったイチゴを口に放り込んだ
「今だけだよそんなの思うの。
その内ご飯だってその辺のコンビニ弁当とか、惣菜とか…」
「そんな事ないもん!」
僕は膨れて乱暴にケーキを口に押し込んだ
そんな僕を、ちろんと上目使いに見上げながら、ニノが意地悪く言った
「櫻井さんだって、その内真っ直ぐ帰って来なくなってさ
会話とか必要最小限の事しか喋んなくなんじゃないの?」
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