第13章 智の青いおもひで、の巻
「……ん…」
浅い眠りからふと目覚めて、僕は薄っすらと瞼を開けた
体を包む、暖かい感触
「……また、ヨダレ垂れてる(笑)」
僕は体を捩って、僕を抱きしめたまま熟睡してる翔くんの口を拭いた
(口を開けて寝るから垂れるのかな?)
軽くイビキをかく翔くんの顔をじっと見詰める
少し開いた口元は艶々としていて、ちょっと色っぽい
僕は其処に吸い寄せられるようにキスをした
「ふぃ〜……しゃとちきゅん…///」
「…しゃとちきゅんって(笑)」
呂律の回らない寝言で名前を呼ばれて、何だか擽ったい気持ちになる
(ん〜…やっぱり今が一番幸せだなぁ///)
ニノが言うほど、僕は自分の人生が悲惨だったとは思っていなかったけど
確かに幸福な方では無かった様には思う
だけど、過去に何が遇ったって、今の僕に怖いモノなんか何も無かった
…翔くんを、失う事以外には
僕の全てを
受け入れ、包み、抱きしめてくれる
愛しい愛しい人
貴方さえ居てくれたら、僕は何も要らない
どんな事だって、辛くない
だから、どんな事だって
僕は貴方に包み隠さず言えるんだ
(でも…本当はやっぱり聞きたくなんか無かったよね?)
僕は、眠りに就く前に僕の過去の話しを黙って聞いてくれた翔くんの顔を思い出した