第13章 智の青いおもひで、の巻
駅までの道を、僕らは手を繋いで歩いた
無言のまま、もうすっかり暗くなった夜の街を行く
でも、別に気まずくて黙っている訳じゃなかった
時たま眼を会わせては、微笑みあう
ゆっくり、ゆっくり
二人のペースで僕らは歩く
繁華街の喧騒が通り過ぎる
呼び込みのお兄さんの威勢のいい声が響いてる
でも、僕らはゆっくり、駅までの道を黙って歩いた
駅のホームでも
電車の中でも
好奇の視線を感じても
ヒソヒソと話す声が聞こえても
ずっと、黙って手を繋いでた
しっかり手を繋いで
時々微笑みあって
僕らは、二人のお家に帰った
「心配した?」
「うん」
「浮気してると思った?」
「…ちょっとだけ」
お家についても繋いだままの手を握り直して、翔くんの顔を覗き込む
「僕のこと、信じてナイの?」
「信じてるよ」
「でも、心配?」
「うん…だって、愛してるんだもん…心配だよ」
情けない顔を上げて僕を見詰める翔くん
あぁ、やっぱ好きだなって思って
胸がきゅんってなった