第10章 翔くんVSさとしくん、の巻
「さとしくん可愛かったねぇ」
松本邸からの帰り道
助手席に座った智くんがうっとりした顔をして言った
「かわい、かった、ね…ははは」
(俺的には何か黒く見えたけど(苦笑))
笑って言ったつもりが顔が引きつっていたのだろう
智くんが俺の顔を見て溜め息をついた
「もぉ〜、翔くんったらヤキモチばっか妬いて」
「…ゴメン(汗)」
「でも仕方ないね」
智くんはハンドルを握った俺の腕に寄り掛かると、上目遣いに俺を見た
「そんな所も好きなんだから」
「…智くん///」
「うふふ、翔くんが、一番かわいい♪」
そう言いながら超絶可愛く笑う君
俺は車を路肩に急停止させた
「わっ!…な、何?どうしたの??」
智くんが驚いて俺にしがみ付く
「…さっきね、忘れ物したんじゃないんだ」
「……え?」
俺はハンドルを握って前を向いたまま続けた
「だってさ…やっぱり、悪いコトしちゃったなって思って…松本くん、きっとまだ智くんの事想ってるから…」
「……」
智くんは腕にしがみ付いたまま、黙って俺の話しを聞いている
「…だから…その……お礼をね、言って来たんだ」
「え?お礼?」
智くんが驚いて俺の顔を覗きこんだ