第9章 ハッピーウエディング、の巻
「別に、脅かしに来た訳じゃないさ、本当に顔が見たかっただけだから
…それと、確認」
「か、かかっ…確認、ですか?」
松本くんはテーブルに置かれた白い手袋を手に取った
「…アイツを、幸せにしてくれるんですよね?」
松本くんは手袋から視線を上げずに言った
その横顔からは、彼の真剣な想いが溢れているようだった
きっとまだ、智くんの事、心から愛してるんだ
そして今、単純に、智くんの幸せを願っている
そう、思った
「必ず、します!てか、してます!いや、寧ろされてます!!」
俺の大声の宣言に、松本くんが顔を上げて俺を見た
「…そうか、良かった」
松本くんはそう言うと、ドアに向かって歩き出した
「…お幸せに」
「え?あの…本当に智くんには会わないの?」
俺は部屋を出る松本くんを追いかけて廊下に出た
廊下の向かい側の智くんの控室から、楽しそうな笑い声が聞こえる
「…本当に、幸せそうだな……俺には、コレで十分だよ」
「松本くん………ありがとう」
「…じゃあ」
松本くんが方手を上げかけたら、智くんの控室から笑い声と共に智くんがウエディングドレス姿で出て来た