第43章 我が家にヤツがやってきた!、の巻
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ニノが夕飯を食べて帰った後
翔くんが、空ちゃんと二人でお風呂に入りたいと言ったので(←本当はあなたと二人で入りたかったらしいですよ(笑))
僕は、二人をお風呂場に誘導した
けど、翔くんは(僕もだけど)犬とお風呂に入るのなんて初めてだったから
ちょっと心配に思った僕は、そのまま脱衣場の戸の前で中の様子を伺っていた
そしたら、程なくして浴室から楽しそうな声が聞こえてきたので
僕はもっとちゃんと様子を伺おうとこっそり脱衣場の中に入り、そこから浴室の物音に耳を澄ませていた
すると
僕の前ではさほど興味がありませんって態度をしていた翔くんが、空ちゃんを優しく洗ってあげている様子が聞こえてきて…
僕は、嬉しくなってしまって、タオルを握りしめたまま、ずっとその楽しそうな物音を聞いていた
(………赤ちゃんが生まれてたら、こんな感じだったのかなぁ)
パパが、赤ちゃんをお風呂に入れてあげて
それを僕が、ちょっとそわそわしながら出てくるのを待っている…
楽しそうな物音を聞いていたら、不意にそんな光景が脳裏に浮かんで来て…
…不覚にも鼻がつんとなって、目尻に涙が浮かぶ
(……バカじゃないの、僕///)
何時までも叶わなかった夢を引き摺る自分を嘲って、目尻に滲んだ涙を乱暴に拭う
(僕には、翔くんっていう素敵な旦那様がいるじゃない…それに、空ちゃんも…
…なのに、何時までも過ぎたことをグズグズ引き摺って…情けない)
きっとニノだって、僕が何時までもこんなだから
だから、そんな情けない僕を慰める為に空ちゃんをうちに連れてきてくれたに違いない
(…いっつも皆に心配ばっかかけて…本当に僕ってダメだなぁ…///)
「…………もっと、しっかりしなくちゃ///」
「あははは、こら〜、お前それやめろや〜♡」
小さな声で僕が自分を叱咤して呟くと、浴室の中から翔くんの楽しそうな声が響いた
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