第39章 let's クリスマスパーティー!、の巻
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(…そっか、ニノには言ってたんだ潤くん…)
僕は、何の話しっすかなんて言ってまだ惚けているニノの顔から視線を逸らして
じっとカウンターの上に置いた自分の手を見詰めた
(…みんなに、気を使わせちゃってんだね、僕)
潤くんも、ニノも
僕が…身ごもった奇跡を失ってしまったコトを知っている
そして、そのコトを…僕が忘れてしまったままだと思っている
だから、潤くんは僕に奥さんの妊娠のコトを黙っていたんだろうし
ニノも、この期に及んでしらばっくれたりしてるんだろう
(…気にしないでなんて、言えないしな…)
そんなコトを言ったら、その事を思い出してるんだって皆に言わなくちゃならないって事で…
…だけど弱虫な僕には、まだその事を口に出して言う勇気が無くて…
僕は、どうしたら良いんだろうって思いながら口を開いた
「……今日ね、デパートで買い物してたらね、潤くんと奥さんに偶然会ってね…
…奥さんのバッグにね、妊婦さんだよって知らせるキーホルダーが付いててね…そんで、奥さんに二人目が出来たんだって、解って…
…だからさ、潤くんも、本当は…僕には言わないつもりだったのかも知れないけどさ…」
「………そう、ですか」
「うん」
返事をしながら、視線を上げて瞬きをしたら
涙が、ぽろんと頬を伝って落ちた
「っ…////」
泣くつもりなんかなかった
泣いたりしたら、それこそ変に思われちゃうから
…だから、自分が泣きそうになっているコトすら気付かなくて
僕は慌てて零れ落ちた涙を拭った
「そりゃあね、泣くほど羨ましいよね、智くん
…俺と智くんには、どうしたって子供は出来ないんだからさ」
翔くんが、そう言って優しく僕の肩を抱く
…僕が、亡くしてしまった命のコトを覚えていて
その事を言えずにいるのを解っていて、僕の嘘に合わせてくれる翔くんの優しさに
新たな涙が溢れて零れる
そんな僕の涙を、翔くんの優しい手がそっと拭ってくれる
「でも、良いんだもんね?
俺ら二人、ずっとずっと一緒だから…寂しくなんかないんだもんね?」
「………ぅん////」
僕は、優しい僕の旦那様の胸に顔をうずめて、その抱擁に甘えた
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