第38章 忘却の彼方に…、の巻
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「はぁああ〜………」
ニノが、うちに泊まって行くと言って、一旦家に戻ってから
一時間程が過ぎた
俺は、リビングの時計を見て
さっきから繰り返し出ているため息を、盛大に漏らした
「着替えを取りに行っただけなんだから、ニノ、そろそろ戻る頃だよなぁ」(←着替えを取りに行っただけで済まなかったので残念ながらまだ戻らないと思います(笑))
ブツブツと独り言を言って時計を見た後
視線を寝室の方へ向ける
智くんは、皆が帰ってしまった後
「僕、ニノが帰って来るまで寝室でニノを待ってます」(←敬語だし)
と言ったきり、ずっと寝室から出て来なかった
(しかも、相変わらず視線を合わせてくんないしさぁ(泣))
「……はぁ〜……」
思い切り警戒したように視線を泳がせて、俺を直視してくれない智くんの様子を思い出して
またため息が漏れる
(……智くん、何してんのかなぁ……)
「はぁ〜あ……なっさけねぇなぁ(泣)」
智くんにまた拒否られるのが怖くて、寝室を覗く事はおろか、ドア越しに声を掛けることすら出来ない俺
そんな超絶ヘタレな自分が、心底情けなくて
またまたため息が出る
「はぁあぁあ〜………もう、ため息しか出ねぇよ………」
─かちゃ…
「…………ん?」
一体何十回ため息をついたろうと、情けない気持ちになって項垂れていたら
寝室のドアが開く小さな音がした
見れば、ちょこっとだけ開いたドアから、智くんがこちらを覗き見ている
「(うを……め、めっちゃ可愛い///)さ、智くんどうしたの?///」
「………えっと…あの…///」
更に少しだけドアが開いて、智くんがぴょこっと顔を出す
相変わらず目線は合わせてくれないものの、遠慮がちに俺の様子を伺っている智くん
その姿の、可愛いこと可愛いこと…
(や、やばい……がが頑張れ俺の理性(汗))
余りに可愛い智くんに、何時もの様に飛びつきそうになるのを、グッと堪える(←笑)
智くんは、そんな俺の様子には気付かないのか
可愛くもじもじしながら俯くと、小さな声で言った
「……あの、僕……ちょこっと、訊きたいことが、あるんですが///」
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