第37章 嵐の到来、の巻
.
「………落ち着いた?///」
僕は、漸く嗚咽が収まってきた翔くんの頭を、ゆっくり優しく撫でながら、その顔を覗き込んだ
「……うん///」
翔くんが、泣きすぎて真っ赤に腫れた目で、僕を見上げる
(…………何、やってるんだろう、僕は///)
この世で一番大切な、誰よりも愛する人を、こんなに悲しませて…
…なんてバカなコトをしようとしてたんだろうって
そんな後悔で、目頭が熱くなる
「……本当に、ごめんね……翔くん///」
「……ううん、謝るのは、俺の方かも……」
翔くんはそう言うと、もそもそと布団の中に潜り込んで来て僕をギュッと抱き締めた後
そっと僕のお腹の上に手を載せた
「……智くんが、そんなに思い詰めちゃうコトも予想出来ないで、逆に自分がパニクっちゃって、情けないよ
智くんのお腹に芽生えようとしてる命は、俺らの愛の結晶だって言うのに…そんな、すぐに諦めようとしたりしてさ…
…俺がもっと冷静になって、色んな可能性を考えるべきだったんだよね」
「……翔くん///」(←真剣に語る翔くんカッコいいとか思っている(笑))
「正直言ってさ、本当にビックリしたけど………俺も、嬉しかったんだよ」
「…え?」
翔くんはそう言ってにっこり笑うと、ちょっとぽおっとなっていた僕の頬に
そっとキスをした
「……だってさ、こんな奇跡が起きるのは……きっと、俺らが深く深ぁあ〜〜く、愛し合ってるからでしょ?
だから、その俺らの深い深ぁああ〜〜〜い、愛が証明されたみたいでさ…
…凄く、嬉しかった」
「……翔くん……///」
「……愛してるよ、智くん……」
泣いてばかりの僕の、再び滲んで来た目尻の涙を拭って
翔くんがまた笑う
「…俺たちには、ニノって言う常識外れにセレブな友達が居たんだもんね?
あいつ、普段はケチだから俺すっかり忘れてたよ(笑)」
「ええ?翔くんたらそんなコト言って///」
「お、笑った」
翔くんがニノのコトをケチだなんて言うのを聞いて僕が笑うと
翔くんはそう言って、嬉しそうに目を細めた
.