第36章 奇跡の予兆、の巻
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今日は、土曜日
潤くんちに遊びに行ってから、一週間が経った
僕は、いつも通り翔くんとデートに出掛けていたのだけれど
何時も行く公園で、翔くんが僕を高い高いしてくれた///
実は、僕は『高い高い』なんてしてもらったのは、それが初めてだった
だってお母さんは、体が丈夫じゃなかったから、そんな力業(笑)な遊びはしてくれた事が無かったし
…お父さんとは、一緒に暮らしたことが無かったし…
子供の頃に一度だけ会った時も、お父さんだとは知らずに居て
勿論、『高い高い』なんてしてもらったコトなんか無かった
それで
公園に来ていた父親と小さな坊やが、『高い高い』をして遊んでいるのを見て
つい、羨ましいなぁなんて思ってたら
翔くんが、『高い高い』してくれたのだ
凄く恥ずかしかったけど
すっごく嬉しかった///
でも、流石に大人の男を『高い高い』するのは疲れるらしく
体力を使い果たした翔くんが、お腹が空いたと言ったので
何時もよりはちょっと早かったんだけど
僕らはその後すぐに相葉ちゃんとニノのBARへと向かったのだった
「へえ、ラジコンヘリサーキットねぇ
潤くんちの庭もそこそこ広いから面白いのが出来るんじゃないっすか?」
BARへ着いてから、早速この前電話で聞いた『潤くんちの庭ラジコンヘリサーキット化計画(笑)』をニノに話したら
ニノはふぅんなんて言って大して驚いた様子は見せなかった
そんなニノを見て、翔くんが納得が行かないと言った顔をした
「なんだよ“そこそこ広い”って!
めっちゃ広いだろ松本くんちの庭!!」
「そうっすか?
俺の実家の庭はあの倍はありますよ?」(←大財閥の御曹司(笑))
「そうだねぇ、たぁちゃんちもそんぐらいあるし
教授んちのお庭も潤くんちより広かった気がするなぁ」(←周りにセレブが多すぎてちょっとズレているさとち)
「…………」(←なんと言って返したら良いのか戸惑う一般人の撫でぃ)
「何が基準かなんて、人それぞれだよね(笑)」
そう言って笑いながら
相葉ちゃんが微妙な顔をして固まっている翔くんの前に、リザーブの焼酎を置いた
「まあ、そうだけどさ…
…あ、相葉くんたちもやんない?ラジコンヘリ!」
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