第35章 夢のあとのその先(後編)、の巻
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その夜
僕は、夢を見た
(……潤くん……潤くん行かないで……
………行かないで………)
遠ざかる背中に、届かない手を伸ばす
何時もの夢
(……待って、行かないで……
……お願い、僕を独りにしないで……)
だけど
何時もは止めどなく溢れては流れている涙が
その夜
僕の頬を濡らすことは、無かった
何故なら…
『どうしたの?智くん
どうしてそんなに悲しそうな顔してるの?』
僕に、優しく問い掛ける
貴方の声が
(……………翔くん?)
『どうしたの?
ほら、こっちに、おいで…?』
僕に差し出される、貴方の優しい手が
僕に向けられる、貴方の柔らかな微笑みが
僕を終わらない悪夢のその先に連れて行ってくれたから…
(…ああ…翔くん…///)
届かない背中に手を伸ばした僕の体が
貴方の温もりに包まれる
『智くん
大好きだよ
愛してるよ
智くん
俺はここに居るよ
ずっとずっと
君の傍に居るよ…』
渇いた心が
貴方の温もりで満たされて行く
ああ、愛してる
僕も、貴方を愛してる
そう言おうとして、薄く開いた唇に
貴方の優しい口付けが落ちてくる
『帰ろう、智くん
お家に帰ろう
ほら、友達が遊びに来てるよ』
(…………友達?)
言われて翔くんが指差した方を見ると
其処には人影が三つ
ニノと
相葉ちゃんと
…潤くん。
『ね?ほら
みんな待ってるよ?
早く帰ろ?』
うん
帰ろう、翔くん
僕らの家に
僕と、貴方の
愛の巣に…