第6章 浮気は男の甲斐性? の巻
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「どうしよう…緊張してきちゃった」
翔くんが良いよって言ったので、僕は久しぶりに教授の家に来ていた
相変わらず教授は留守で、僕はまた勝手にアトリエに入って、描きかけていた絵を描いていた
暫くは、絵に集中していて、全然平気だったんだけど、ふと時計が眼に入った時に、気付いてしまった
「この前も、こんぐらいの時間だった」
例の、キスした彼が来る時間
彼は、何時も決まった時間に教授の家にやってくる
彼はなんでも、教授に頼まれて、時々家の片付けなんかをしているらしい
そして片付けが終わると、僕の描いてる絵を覗いたりして、軽く話をして帰っていく
それがこの前、帰るのかと思ったら、急に振りかえって、キスをしてきた
もう、頭の中が真っ白になって、僕は何とか彼を振り切って、走ってお家に帰ったのだ
「…教授の新しい恋人かな?」
でも、相手は現役の大学生だしな
「生涯現役ってことかな(笑)」
(教授って、案外、やる時はやるっていうか…)
何時もは、穏やかで、凄く優しいのに、ごく稀にスイッチが入って、僕を求めてくる時は、まるで人が変わった様に激しくなる
「自分で自分のコト“ジキルとハイド”みたいだって言ってたもんな」
「誰が、ジキルとハイドなの?」
「ひゃっ!?///」
急に声がしてビックリして振り向くと
いつの間にか、例の彼が部屋の入口に立っていた
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