第24章 初ガチ喧嘩、の巻
.
(翔くんのばか翔くんのばか翔くんのばか……)
僕は泣きながら何処へ行くわけでもなく、闇雲に走った
(翔くんのばか翔くんのばか翔くんのばか……
……って、言うか)
「…………僕の、ばか////」
僕は足を止めると
その場に立ち尽くして、ヒリヒリする右手のひらをじっと見た
「どうしよぅ………叩いちゃった////」
見詰める手のひらに、ポロポロと涙の雫が落ちる
「……大野、くんっ…!!///」
1人、道端に立ち尽くして手のひらを泣きながら眺めていたら、二ノの声がした
「…………」
ゆっくり振り向くと、ソコには息を切らせて此方へ歩いてくる二ノの姿があった
二ノは僕のコトを走って追い掛けて来たらしい
息も絶え絶えな感じだった
「………」
僅かな期待を胸に、目を凝らす
だけどソコには、汗だくで疲れきった二ノの姿以外は
誰も、見当たらなかった
「…………」
「……も〜…………なんで、……あんたは、……こう、……無駄に、…………足が、早いん、です(汗)」
二ノがはぁはぁ言いながら文句を言って、立ち尽くす僕の肩に手を置いた
「………もぅ、こんなに泣いてからに」
「……二ノ、どうしよぅ……僕……
………僕、翔くんを………
………
………叩いちゃった////」
新たな涙がぶわっと溢れて
また頬を伝って落ちる
二ノはソレをポケットから出したハンカチで、ゴシゴシとちょっと乱暴に拭った
「ん〜………ぃたい////」
「こんくらい我慢なさい!」
「………そぅだよね………しょ、翔くんの、ほっぺのが………ぃたかったょね/////」
「そうでなく!」
二ノはまた溢れ出した涙を拭って、僕を優しく抱き締めた
「全くもう………とりあえず、俺んち行きましょう?
ゆっくり、話し聞いてあげますから」
「…………ぅん////」
僕は、小さな声で答えると、二ノの華奢な体を力一杯抱き返した
「…………ぁりがと、二ノ////」
「どぉ致しまして………ほら、行きますよ?電車乗れる?なんなら車拾いましょうか?」
「くすん………電車、のれる。////」
「じゃあ、行きましょう」
僕は二ノに手を引かれて、地下鉄の駅へ続く階段を降りた
.