第5章 不完全で不器用な
俺も入浴し、髪の毛を乾かして貰った後寝る支度をし、彼女の部屋へ向かった。
約二週間、見慣れたこの部屋とも一旦今日でお別れだった。
「今日でしばらくこの部屋も見納めだな、明日からは俺の部屋だ。」
俺はタオルケットにくるまってスーッと匂いを嗅いだ。
「ちょっと万次郎!?何してんの?」
「だってこれ、さくらの匂いすんだもん。落ち着く。コレ俺んちに持ってって良い?」
「…万次郎、直接…触れたい?」
「あ…さっきは落ち着かせてやりたくて抱き締めちまったけど、ヤリてぇとかそういうの無いから。気にすんなよ」
笑って誤魔化したが嘘だ。隣に大好きな彼女が居て性欲が湧かない筈などなく、彼女が寝た後にこっそり自慰行為をする日があった。
触れたいし抱きたいに決まってる。
「……万次郎…セックスして…」
「は?オマエ、何言って…怪我は?」
「大丈夫、万次郎であの感触を消してよ。私だっていつまでも怯えるのは嫌。やっぱり汚れた私を抱くのは…嫌?」
「嫌じゃねぇ」
俺は上着を脱ぎ捨て彼女を組み敷くと、決戦前にシルシを付け消えてまった彼女の白い首筋に吸い付いて、真紅の花をいくつも咲かせた。