第4章 息が出来ないほど
部屋の前に着くと、ちょうど彼女の父が出張へ出掛ける所だった。
「佐野くん、さくらを頼むよ。」
「はい。任せて下さい。」
「なぁにー二人でちゃっかり約束しちゃってさ。」
「男同士の話ってやつだよ。佐野君の通院付き合ってあげるんだぞ?」
「分かってますよー。行ってらっしゃい。」
「あぁ、行ってきます。定期的に連絡入れるから。じゃ、佐野君もお大事にね。」
バタンと扉が閉められ、オートロックが掛かる。
本当に二人きりになってしまった。
身体は全快では無いが、どうにかして今度は俺が原因で作り出してしまった深い傷を癒すのだと心に固く誓った。
「万次郎?中に入るよー。」
「あぁ、今行く。」