第8章 背徳
伝票にサインして、渡すふりをしてそっと耳打ちする。
「昨晩、夫に抱かれました」
健吾さんは嫉妬に狂ったような目で私を見つめてくれる。
こんな悔しそうな顔をしてくれるなんて。
大丈夫、私の身体も心も健吾さんのものだから。
「…ところで、あの人はコンドーム着けてたけど、完璧な避妊なんてないんですよね」
何を言い出すのかと怪訝そうな顔をする彼。
「…実は私、明日は生理2週間前で、…一番危ない日なんです」
私が耳元で囁くと、目を見開いてゴクリと喉を鳴らす。
夫も私も健吾さんも、血液型はみんな同じ…。
「明日は、い~っぱい、ナカで出してね…、健吾さん♥」
あの夏の日から、彼の休みは毎週月曜日だ。