満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第39章 Trick but Treat※《宇髄天元》
だるい。だるいだるい。
腰やその他の関節が悲鳴をあげている。
だって昨晩、あんなに…。
ハッと目が覚める。
カーテン越しからは柔な光が差し込んでいた。
ふと横を見ると美しい顔の宇髄さんがスースーと寝ている。
自分の服装を見ると、いつものTシャツと短パンのパジャマで、
自分で着た覚えはないので、昨夜宇髄さんが着せてくれたのだと思い、カア、と頬が熱くなった。
脱ぎ捨てられたメイド服と、下着、フリルのついたカチューシャ。
それからベッドサイドに置かれているダストボックスの中にはいくつかのティッシュとコンドームの袋が丸められて捨てられている。
ぼんやりと思い出してきて、いたたまれない。
「…なんで、メイド」
ぽつりと呟いて、宇髄さんが起きないように、足をバタバタとさせて恥ずかしいのをどうにかこうにか自分の中で整理する。
「…お前が可愛かったからに決まってんだろが…」
「へっ…」
声の主を振り返ると、宇髄さんはぼんやりと目を開けてこちらを見上げている。
「…起きてたん、ですか」
「…はよ」
ふあ、と気怠げに欠伸をして、それから大きな手で髪を撫でられた。
そんなに愛おしそうな瞳で見つめられて、波奈はますます不思議に思う。
どうして、わたし?
「しかしなっつかしいなあ、メイド服」
「……ん?なつか、しい?」
「着てただろ」
「わたしが?いつ?」
「ん?……中等部一年ぐらいだったか」
「えっ…え?」
そう言われて思い返せば、鬼滅学園中等部一年の文化祭で、確かにメイド服を着た。昔のことですっかり忘れていた。
でも、中学1年生のころは宇髄さんはまだ鬼滅学園の教員ではなかったはずだし、どうして知っているんだろう。
「…宇髄さん…って…」
「うん?」
「もしかしてロリコンだったりします?」
「ふは、ねえな。お前が好きなだけだよ」
「……」
怪訝そうに黙り込むわたしに、宇髄さんはくつくつとわらう。
言っただろう、
俺はお前のこと100年前から好きなんだよ。
そう真剣に言う、年上の恋人。
波奈が前世を思い出すのは、さていつだろうか。
ーendー