満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第39章 Trick but Treat※《宇髄天元》
「なっ、ぜ、ぜったいやだ!」
「なんでよ。今日ハロウィンだろ。お前コスプレ好きじゃん」
「別に好きとかじゃなくてですね、」
宇髄さんが波奈の目の前で広げたソレは、
黒のワンピースに白のフリフリのエプロンが付けてある、所謂メイド服だった。
それは楽しそうにそれを見せられ、
これを着て欲しい、とのことだ。
予想外のことでふらーとめまいがする。
「こないだ散々楽しんだじゃねえか」
「た、たのしんでない!!」
「ここにお注射してください♡♡っつって良がってたじゃん」
「ばっ…!誰が言わせたんですか!!」
ナース服を着たままセックスしたときに、言わされた。
言わねえと最後までしない、と言ってのけられて何回も言わされた。
というよりナース服を着たわたしが注射してください♡はおかしいでしょーが!
思い出して頬が熱くなる。
「可愛いだろう。お前に似合うと思うんだけどなあ。
宇髄さん、せっかく買ってきたのに」
「知りません!!」
しょぼんとして口を尖らせている。
その手には、その手には乗らない!
波奈は宇髄さんと付き合って、何度も何度も同じ手で引っかかって宇髄さんの望みを聞いてきたように思う。
「……なぁ、どうしてもダメか?」
「、!だめ、です…っ!」
いちごジャムを甘く煮詰めたような瞳に見つめられる。
宇髄さんの周りはキラキラと輝いている。
それは宇髄さんをどうしようもなく好きになってから、全くもって変わらない。
この瞳を見るとダメだった。
慌てて目を背ける。
迫り来る大きな身体に、胸に手をついて抵抗した。
大きな手が波奈の頬を優しく撫でる。
「今日俺誕生日なんだけど」
「…っ…」
「…だめか?」
ずるい。宇髄さんはずるすぎる。
そんなに優しく撫でられたら、わたしは。