満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第36章 血鬼術を解いてよ宇髄さん1※
「決まったか」
「……牛鍋にします…」
お品書きを未だに睨んでようやく決まったようだ。
「あとは?もっと頼んでいいぞ」
「えっ!…じゃあ、カステラとあんみつ!わあい♫」
おいおいお前は今血鬼術にかかっていて男に抱かれないと死ぬんだぞ、もっと気を張れと言いたいところだが、ふふふと楽しそうに笑う波奈を見て口を紡ぐ。
「音柱さまは?」
「俺は鰻。精をつけないとな」
そう言うと、一瞬固まってカカカと頬が紅色に染まった。
「お前、ほんとにこれで良いのか。
恋仲の奴はいないとして、好いた奴とかいねーの。
心当たりある男は周りにいないのか」
「……よく考えたんですけど、ほんとにいないんです。
花街で相手を探そうかとも思ったんですが、
しのぶ様に止められて、音柱様が良いんじゃないかと…」
ふうん、こいつも色々考えてのこの結果なのね。
本当に相手がいない、と波奈から聞いて一応はホッとした。
波奈に恋文がたくさん届いていたり、好いている、慕っているとそんな一方的な波奈への想いはよく耳で聞いていた。
あれだけ好かれてりゃ、波奈だって好いたやつの1人や2人はいると思っていた。
「あの、でも…」
「うん?」
「奥様方に申し訳がなくて…
本当にご迷惑をおかけします」
薄茶色の大きな瞳は涙で薄い膜を付けている。
思い悩んでいる。まあ、無理もない。
15の子どもに到底受け入れられることではないのだろう。
不貞行為のようで、罪悪感か募るのだろう。
「まあそう思い詰めるな。
形状は婚姻関係だが、あいつらは女房というよりは家族みたいなもんだよ。
それに血鬼術を解くためっつーんならあいつらだってわかるはずだ」
そう言い慰めてやってもうーんうーんと悩んでる。
ま、せいぜい悩め。
若いうちの苦労は買ってでもしろって言うしな。
悩んでいる波奈を尻目に、ケラケラと笑ってやった。