満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第26章 寝不足の彼女※ 【宇髄天元】
「宇髄、先程沢田に会ったぞ。少し疲れてそうだったが…
お前、夜はちゃんと寝かせているのか?」
ポロ、とラーメンをすすっていた箸を落としてしまった。
おいおい、おまえ何言っちゃってんの。
俺は慌ててその同僚を見た。
「は?煉獄、お前も波奈見たのかよー。は?え?夜?なに、そっちの話ぃ?」
清廉潔白、良いところの名家の御子息、残暑厳しい今日も、かっちりとシャツとネクタイを身につけている煉獄は、腕を組みながら呆れたように宇髄を見ていた。
宇髄天元はそんな煉獄にどこ吹く風で、さらりと交わす。
「お前は今まで本命の彼女を作ったことがなかっただろう?
しかも卒業してすぐの生徒と…。まったく」
はあ、とため息を吐く煉獄に、宇髄はムッとしたようだった。
「ちゃんと卒業するまで待ったのを褒めて欲しいぐらいだわあほ。
それになんだよ、本命は波奈1人だけどそれが?」
口を尖らせて煉獄に抗議のように言う。
「いや、今まで女性関係はだらしなく好き勝手してきた君は、本命の彼女の気持ちを考えられるのかとつい思ってしまって。
今日見たところ疲れていそうだったから、もしや無理強いはしてないかと思ってな」
「無理強い?!んなのして…!!ねえ……よな?」
言葉尻は小さくなり、宇髄は俺の方を見る。
「俺に聞くな」
「…」
宇髄はそれから顎に手をやり、なにやら深く考え事をしているようだった。
煉獄、お前はさらりと核心をつくところを、本当に尊敬する。