満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第25章 前世から※【宇髄天元】
祖母と住んでた家は古い平家の日本家屋で、1ヶ月に一回は草むしりや部屋を掃除していた。1人では大きすぎるこの家を、将来どうしようかと悩んではいた。
「まあそのままにしとけよ。あそこは学校にも近いしお前の付属の大学病院もまあまあ近いし。いずれはリフォームでもして住めばいいじゃん」
「ええ?わたし1人では大きすぎますって。あそこの土地、買いたいって人もいるって聞きますし、」
「ばーか。なんでお前1人で住むんだよ」
「え、?」
じゃあ誰と?と喉まで出かかった言葉を呑み込んだ。
わたしにはもう宇髄天元という婚約者がいる。
そんな信じられないことが現実なのだ。
確かめるように左手のシルバーリングを確認する。
そんな私をみて、くつくつと宇髄さんは笑っている。
宇髄さんはわたしの手を握りしめた。
優しくて力強い大きな手は、あの頃からずっと変わらない。
込み上げてくる涙を慌てて拭うと、宇髄さんは一瞬驚いたような顔をして、わたしの顔を覗き込んだ。
「波奈…?」
「…わたしもう、宇髄さんの手、絶対に離しません」
「……ふはっ。上等」
吹き出して笑う宇髄さんの手を、強く握りしめた。
ー終わりー