第10章 不審な手紙
『…!』
思いがけない救世主の姿に私は涙が溢れた。
この状況をすぐに理解したのか、千冬くんは血相を変えてこちらに向かって来た。
千冬「お前っ、何して…!」
?「チッ…!」
千冬くんの姿を見れば、相手は舌打ちをし私から手を離して逃げるように去っていった。
手が離れれば一気に酸素が頭を回り私は噎せながらその場に経たり込んでしまった。
『っはぁ………は』
千冬「大丈夫ッスか…!?」
『千冬くん…ありがとう…助かったっ…』
私は身体に酸素を送り込むように肩で息をしながら千冬くんに感謝を述べる。
それと同時にほっとしたのか涙が溢れた。
『っ…あれ、勝手に涙が……』
千冬「…………」
袖で涙を拭っても勝手に溢れ出す涙に自分自身戸惑っていれば、目線を合わせるように目の前にしゃがんでくれる千冬くん。
そして手を伸ばしてきたかと思えば、そのままお姫様抱っこをされた。
『…えっ?ち、千冬くん…!?あ、あの…私大丈夫だからっ…!』
千冬「大丈夫じゃねぇだろ。とりあえずここに居たら風邪引くから中入るぞ」
そう言って、姫抱きされたまま家の中へと連れていかれ、リビングのソファーにゆっくりと下ろされる。
『ご、ごめんね…重いのに……』
千冬「別に重くはねぇけど…」
『…けど…?』
千冬「……その…、やっ…やわら…い、いや!なんでもねぇッス…!」
……今柔らかいって言おうとした…?
やっぱり肉付きがいいんだ私…だから柔らかいとか言われるのんだ…ダイエットしよう…。
そんなことを思いながら千冬くんを見ていれば顔を赤くして少し俯いてる千冬くん。
……そんなに照れることある…???
照れるのはこっちなんですけど…!
…でも照れる千冬くん可愛すぎて…撫でたい…
姫抱きされたことによって驚きと恥ずかしさが大きいのに加えて、千冬くんの照れ顔が可愛すぎて私はいつの間にか涙が止まっていた。