第23章 兄弟
無事に今日の仕事もやり切り、外が明るい内に帰れそうだなって思いながら会社を出て家へ帰ろうと歩いていればふと蘭ちゃんのことを思い出した。
あの子…ちゃんと家の鍵閉めて帰ってくれたんだろうか…
ほんっとに合鍵も帰ってこないし…もういっその事引越しでもしようかな…セキュリティバチバチのところに。
オートロックとかいいかもしれないなぁ…次こそは合鍵を隠しておかないと…
家の鍵が閉まっていることを願いながら家に向かっていれば、珍しく携帯の着信がなった。
『ん、誰だろ…』
携帯を鞄から取り出し画面を見れば、マイキーくんから電話が来ていた。
『あ、マイキーくんからだ…』
そういえば…あの可愛い彼女とスイーツ食べてたあの日から会えてないなぁ…
まだ私の事覚えててくれてるんだなぁと嬉しくなりながら私は電話に出た。
『あ、もしもし?』
電話越しに声をかければ、何故か静かで言葉が帰ってこない。
…あれ?喋らない…?
私間違えて電話切っちゃったのかな?
そう思い再び携帯の画面を見ればしっかり秒数がカウントされ通話中になっている。
……え、何?怖くない…?
不審に思いながらも再びマイキーくんに声をかけた。
『あ…えっと……もしもし?聞こえる?』
電話越しに耳を澄ませば、微かに息をする声が聞こえてきた。
…なんか息が荒いような……?
え…何事!?
『マイキーくん…?大丈夫…?どうしたの?』
何かあったのか不安になり、帰ってこない声に私は一生懸命話しかける。
すると、振り絞ったような小さい声で返答が帰ってきた。
マイキー「…会いたい」
その言葉だけを言い残してマイキーくんは電話を切ってしまった。