第12章 その名の意味
熱は、その日から三日三晩『ユウ』を苦しめた。
鬼より怖い白ひげと謳われる男の海賊団に所属する、2番隊隊長『火拳のエース』は、三日三晩熱に侵される女を甲斐甲斐しく看病した。
エースは、まず津波によってボロボロにされた包帯を全てとり、川から汲んできた清潔な水で、体を拭き、マルコから教えられた知識と、昔ジャングルで生活していた経験から薬草を薬代わりに塗り、新しい包帯を巻いていく。
包帯はその家の箪笥にしまっていたタオルをちぎって作り、服もその中から適当に選んで着せる。
そして、水を何度も汲み、熱く火照ったその額に冷たい冷やタオルをかけてやる。さらに、水分補給に、果実を絞り栄養補給。
「____さぃ___ご____ね____し__いで__しな、ないで」
「・・・・・・」
エースは、うなされながらそう呻き続ける『ユウ』を、あやすように撫でる。
ずっとこんな調子でうわ言のように苦しむ『ユウ』。初めはエースも悪夢でも見てるんだろうかと声をかけ、起こそうとするも、毎回呟かれる言葉は同じ。
『ごめんなさい』『ごめんね』『死なないで』・・・・・そして『__』
拾えた言葉はこのくらいだ。他は何を言っているのかわからなかったが、間違いなくただの悪夢ではない。何か、ひどい過去でも見ているかのように、そううなされ続ける『ユウ』。