第20章 新婚旅行
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「ぅうーーみぃーーっ!!///」
智くんは大声で叫ぶと波打ち際に突進して行った
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俺たちは今、二人で海の近くの温泉地に来ている
せっかくだから、砂浜で遊びたいと言う智くんのリクエストで海岸へやって来たのだ
「智くんそんなにはしゃいで…砂に足をとらっ!!」
──ドスンっ
「…れると、アブナイよ…翔くん」
「……」
いいんだ…どうせ俺は、残念なヤツなんだ…
昔付き合ってた彼女にも言われたっけ…
“翔って、イケメンで頭もいいのに、ナンカ残念”
「翔くんってさぁ…」
ほら、来たぞ
「…なんか、かわいい」
「…え?」
「かわいいね♡」
(Σあぁ!!言ってるアナタが百億倍可愛いでしょうがっ!!////)
俺たちは、ひとしきり海岸で遊んだ後、宿に向かった
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「予約していた櫻井ですけど」
「いらっしゃいませ、お待ちしておりました櫻井様」
こちらにお名前とご住所を、と言われて、智くんが綺麗な字で名前を書いた
“櫻井 翔・智”
なんか、これって…
「あら、ご夫婦ですか?“とも”って読むの?」
(ご夫婦ぅっ!?)
「“さとし”です」
「まあ、最近の若い女の子は、男の子みたいな名前が流行りなの?でも、ホント可愛いわねぇ」
「うふふ、新婚なの♡」
(ししっ新婚っ!?///)
「あら、いいわねぇ、こんな可愛い奥さん、大事にしてあげて下さいね」
(おおおっおくおくっ!?////)
狼狽える俺を尻目に、智くんは仲居さんに案内されてサッサと部屋へ行ってしまった
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