第11章 言えない関係
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世間的に認められない関係だって
二人の気持ちがしっかり寄り添っていたら
それで構わないって思う
家族は納得してくれないかもしれない(特に両親は)
友人達に引かれるかもしれない
それはそれで、時間を懸ければ解ってくれると思う
俺たちが隠れるようにして逢っているのは
そんな事が理由じゃなかった
それは多分
一番してはいけない事
君に、俺とは別に
“恋人”
と呼ばれる人がいるから
彼に、俺の存在を、隠しているから
だから俺たちは、他人の眼に出来るだけ触れないようにして逢わなければならなかった
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「…やっぱり、このままじゃ、いけないよ」
俺たちは、真新しいセミダブルのベッドの上で微睡んでいた
俺は腕枕をしている手で智くんの髪を弄びながら言った
「…ごめん…解ってるけど…ホントに…ごめん」
君は俺から眼を逸らすと、そのまま横を向いた
後ろの首筋にくっきりついた、紅い印が見えた
俺にはつける事の出来ない紅い印が、君はまだ彼のものだと言っているみたいだ
俺は智くんの方へ向き直ると、両腕でその頭を抱きかかえた
「智くんが嫌なら、俺がちゃんと松本君と話をつけるから…ね?」
「ダメだよ!!///」
智くんが珍しく大きな声を上げた
「…智くん?」
僅かに体が震えてる
「……知らないから」
「え?」
「……翔くんは、潤くんを知らないから…」
智くんはなんだか怯えてる様に見えた
「そりゃ、会った事ないし、よく知らないけど、男同士腹を割って話し合えば…」
「……怖いんだ」
「…智くん」
「……翔くんが心配で…翔くんの身に何か起こりそうで……怖いんだ」
そう言うと、君は痛いほどキツく俺に抱きついた
「翔くんを失いたくない…翔くんと離れたくない……だから潤くんには言えない……」
「……」
そんなに震えて…
そんなに怯えて…
(彼と……前に何かあったの…?)
だけど、震え、怯える君に、そんな事訊けなくて…
(ニノだったら何か知ってるかな?
……タダで教えてくれそうにないけど…)
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俺は震える君を優しく抱きしめながらそんなことを考えていた
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