第11章 言えない関係
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「翔くんち行きたい」
ある日
智くんが突然言い出した
「何よ、急に」
「急じゃないもん」
訊けば前々から行きたかったのだと言う
「僕の部屋には居れないでしょ?」
「そりゃ、そうだけど」
「…僕、ホテル嫌い」
「……」
以前、一度ラブホに行った事がある
智くんはラブホが気に入らなかったらしく、こうゆうトコは嫌だと断固拒否した
だからって毎回高級ホテルって訳にもいかず
…結果、ご無沙汰している訳で…
「良いけど、狭いよ?」
「平気」
「…汚いし」
「掃除したげる」
「…ベッド、シングルだし」
「…狭いの我慢する」
「……」
「……」
「…じゃ、行く?」
「うん♡」
俺たちは俺の部屋に向かった
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俺の部屋は、所謂1Kってやつだ
6畳のキッチンに8畳の寝室、あとユニットバス
まあ狭いけど一人には十分だ
(智くんの部屋とは大違いだな…
…多分、智くんちの寝室に、俺の部屋丸々入るぞ(汗))
「お邪魔しまーす♪」
「どうぞー」
「わ!ホントに汚いね」
「…だから、言ったじゃん」
「うーん、これは片付けがいがありそう♪」
何故か智くんは楽しそう
「さて、さっそく片付けよう!…翔くんはこの書類の山をどうにかして!」
「え?あ、はいはい」
「はい、は、一回!」
「でぇ?…あ、はいっ!」
俺は智くんに睨まれて慌てて返事をした
(…なんか智くんキャラ変わってますけど(汗))
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小一時間程で片付けは終了
それにしても、智くんの手際の良さには感心した
(良いお嫁さんになるね…なんつって///)
智くんはすっかり片付いた部屋の端っこに、ちんまりと座っている
(あ…なんか、すげー可愛い///)
俺がボーっと見惚れていると、智くんがポツンと呟いた
「…なんか、落ち着く」
確かにあんな広い部屋一人じゃ落ち着かないかも
「…いいな、ここ…僕、翔くんとここに住もうかな…」
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