第1章 出逢い
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「あ゙あ゙〜疲れたぁ〜…」
俺は櫻井翔
出版社に勤めている花の29歳(独身♡)
今日も残業で、もうすっかりイイ時間だったけど
俺は何時ものバーへ向かった
“Lotus”
それは、レトロな造りの小洒落たバーだった
何を隠そう
…いや、何も隠す必要は無いんだけど
俺は、そのバーに一年程前から毎日の様に通っていたのだ
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そう、其処で君を見付けてから…
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それは
ちょっとした気まぐれから生まれた
偶然、且つ、奇跡的な出逢いだった
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──((約)一年前)──
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「はぁ〜………づがれた。」
何時通り残業した会社の帰り道
俺は溜め息混じりに伸びをした
「毎日残業したって文句を言ってくれる人も居ないしなぁ…はぁ〜…つまんねぇなぁ…」
三十を前にして、周りの友人達が次々と結婚するなか
未だ独身…彼女なし
いや、俺だってモテない訳じゃないよ?
学生の頃はそれなりに遊んだし、彼女もいた
んがしかし
今は忙し過ぎてそれどこれじゃないだけだ…と
早く結婚しろとウルサい親とヘタレる自分に言い訳をする毎日
…そんな訳で
家に帰っても独り寂しく呑んで寝るだけの日々を過ごしていたのだ
(あ〜ぁ…真っ直ぐ帰んのもつまんねーよなぁ…)
なんて思った俺は、ふと
ただ帰るのもつまらないからと、自宅アパートのある駅の一つ手前の駅で降りてみた
「はぁ〜…やっぱまだまださみぃなぁ…」
一人ブツブツ言いながら
春も間近な夜の街を、何の目的もなく自宅のある方角へ歩きだす
暫らく行くと、ちょっと良い雰囲気の小洒落たバーが目に入った
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