第17章 宮寺先生 × あなた
鳴海先生が休みになる事が続き、
たぶん、本格的に辞める準備を
進めてるんだと実感した。
そんな時、宮寺先生が私を呼んだ。
誰もいない図書室に2人きり。
嫌味か?皮肉か。
それとも嘲笑いに?
どちらにせよ、何の用なのだろう
「あのね、藤瀬先生のことで
お話したいなって、思って」
優しく微笑んだ。
ぜんぶ。知ってるのかな。
「…仁坂さん、
告白したんでしょう?
その事に関しては、何も言わない
というより、言ったことじゃなく
言ったあとのことなんだけどね?」
「どういう、ことですか」
先生は表情をすこし、
悲しそうな顔して
私に告げた。
「告白をした事は、凄く良いことよ
でもね。困るのは藤瀬先生よ。
その後のこと、その先のこと」
「……その、さき?」
「例えば、上手くいって。
貴女が卒業して生徒に広まって
先生が先生を続けていて、
彼はどんな扱いを受けると思う?」
「…そ、れは」
「安易に想像が付くのよ。
野蛮だ、変態だ。
教育者として有るまじき行為だって
それに苦しむのは、彼なのよ」
宮寺先生は、俯いた。
ううん、違う。
この事を言って、罪悪感に苛まれて
辛くて、俯いてしまったんだ。