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【MARVEL】This is my selfishness

第11章 小話2



「撮ったな?」

バッキーが笑いながら左手でカメラを指さす。

『ん〜バレた?お菓子くれなかったから悪戯代わりね』


構えて振り向くのを待ったとはいえ、ブレずによく撮れた。すごい、男前な人はこんな風に撮られてもかっこいい。狼の耳としっぽで可愛らしいけど。


「可愛い悪戯だな」と言いながら、バッキーは狼の耳としっぽを取った。












楽しかったパーティーの余韻と、甘くて美味しかったお酒で浮かれた気分でアパートへ帰る。


『はぁ、楽しかった〜。たくさん美味しい物食べたし、甘いものも食べたから明日は運動しなきゃな』

「付き合おうか?」

『ほんと?じゃあ​────』


階段を上りながらも会話は途切れず、部屋の前につく。


『それじゃあ、おやすみ』と言おうとバッキーの方を見た瞬間、

「トリックオアトリート」

『、えっ』


今?
突然のトリックオアトリートに思考が停止する。


『あ、えっと、待ってね、中にお菓子、』


部屋にあるお菓子をとってこようと急いでバッグの中から鍵を探す。
けれどもその間にバッキーがすぐ近くまで詰めてくる。


「ないのか?お菓子」

『あの、中に、』

説明しようとしてもその隙を与えて貰えず、鍵を探す手を彼の左手が掴む。


「じゃあ、悪戯だな」

『へ、』


そう言ったバッキーの顔は悪戯に、けれども妖艶な表情で、スッと距離がより近くなる。
悪戯に備えてギュッと脇を締めて目も閉じて縮こまると、バッキーの匂いに包まれる。
そして手を掴まれたまま、わたしの左耳に何かが差し込まれる。多分、バッキーの右手。それがスリ、と撫でるように動くと今度は右耳に息が吹きかけられた。


『ン、ッ』

「おやすみ」

そうわたしの右耳に囁くと、掴まれていた手も自由になり、わたしを包んでいた香りも離れていく。


目を開けると既に自分の部屋の扉を開けたバッキーと視線が絡む。


「また明日」


そう言って微笑んだ彼の顔はまだ妖艶さを感じた​───────











fin.
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