【MARVEL】This is my selfishness
第10章 9th
バッキーの中でのわたしの立ち位置ってどこなんだろう?
そしてその位置にはどんな意味があるんだろう。
何があっても変わらない態度なのはわたしのこと、なんとも思っていないから?
【女性だから】【隣人だから】が【わたしだから】になったのは何故?
バッキーのわたしに対する行動全てに理由を付けようと、理由を見つけようとする自分に気がついて嫌気が差した。
人の厚意に自分にとって都合のいい理由をつけようとするなんて。
なんてわがままなことだろう。
「ミア?」
『ん?』
「どうかしたか?」
返事が上の空だったのか、顔をのぞき込まれた。
近い、近いです。
『っなんでもないよ!ゆっくりしてたけどまだ怠いというか、切り替えできてないだけだから気にしないで』
言いながらもお店の裏口に着いて、バッキーが扉を開けてくれた。
ササッと中に入ると「あら」と声がした。
『あ、おはようございます』
「おはよ」
声を掛けてくれたのはケリーさんだった。
ケリーさんは「色男さん」とバッキーにも声を掛け挨拶をしたかと思うと、すぐに追い払うように手を払ってバッキーにはホールに行かせ、わたしをロッカールームへ招いた。
「遅いじゃない、メッセージくれるの」
『ゔっ、ごめんなさい…!』
いじけたように口を尖らせるケリーさんは普段見る表情より幼くなって可愛らしい。美人は可愛くもなれるなんて。
「楽しみにしていたのよ?貴女からの連絡」
気づかれなかったのかと思った、と眉尻を下げる。
あ〜!お店に来てるケリーさん目当てのお客さんの気持ちがよく分かる〜!!!
『ごめんなさい、あの、帰宅次第すぐに友達追加しようと思ってたんですけど、、、』
「…何、何かあった?」
わたしの表情に何か現れていたのか、ケリーさんはわたしのことを気遣うように触れる。
わたしは周りにバッキーがいないかを確認してから、ケリーさんに耳打ちした───────