第53章 惜別 ※
「―――――強くて、厳しくて、恰好良くて、冷静で――――、でも――――――時々弱くて、優しくて、恰好悪くて、激情を秘めたリヴァイさんだから―――――いいんです。」
ナナとこうしてじゃれあう時間が好きだ。
だが、話している間の時間さえ惜しい。
会話の合間で戯れるようにキスをする。
「―――――私のことも、………ん、ぁ、……聞かせ、て……?」
「――――あ?―――――お前は――――わがままで、頑固で……っ……、残酷で………。」
「――――……ぁ、……ひどい……ふふ……。」
「――――――最愛の、女。」
「―――――……………。」
至近距離でその濃紺の瞳を見つめると、俺が映る。もうこの距離でこの瞳を覗くこともない。
「脱いで………全部…………。」
「あ………?」
「―――――生まれたままの姿でいっぱい抱き合ったら、溶けちゃえるかも、しれない………。」
ナナの甘い声と視線に負け、望むままにお互い一糸まとわぬ姿で肌を合わせる。
「――――西部調査で初めて、リヴァイさんが戦う姿を見たんです。」
「……あぁそうか、初めてだったな。」
「―――――綺麗で、強くて――――――その背中には、自由の翼が生えているんじゃないかって、思った。―――――でも、ないんですね。」
ナナが俺の背中に腕を回して翼を探すように手を這わせる。
「あったら気持ち悪ぃだろうが。」
「ふふ……っ、全然?きっと、綺麗………。」
ナナは再び俺の身体を強く抱きしめて、胸に顔を摺り寄せた。