第51章 西部調査
リヴァイ兵士長の率いる小隊はクロルバ区で出撃前夜を過ごし、明日は壁外調査に出る。
ミケさんやハンジさんも無事それぞれの区に着いただろうか。今頃ナターシャとエミリーは、震えているかもしれない。誰かが側にいて、その恐怖を少しでも和らげてくれているといいけれど。
そんな事を考えながら、宿舎の屋上から星を眺める。吐く息は白く煙を巻くように舞い、その冷たい空気に溶けていく。
エレンやミカサ、アルミンは元気にやっているだろうか。
ロイは、お父様は元気だろうか。
お母様とリグレットさんにも、しばらく会えていない。
「また――――――会えるかな……。」
口をついて出たのは、弱気な言葉だった。
平静を保っているつもりでいるけれど、心の奥底では怯えている私がいる。こんな時、兵舎にいればいつもリンファが側にいてくれる。
リンファはハンジさんの班だった。
同じ夜空を見上げているかな。そんなことを思ってぼんやりしていると、屋上へと出る扉が開いた。