第49章 夜会

「え、ええっ……！その……野蛮な調査兵団の子が……急に……っ！」

「―――――そうですか。それは良くない。――――――が。」



ダミアンさんの笑顔が急速に冷えた。






「我々人類のために命を懸けて戦う者を―――――嘲い、ましてや金で買って遊ぼうなどと―――――人間性を疑いますね。」





「――――――っ………。」






「敬愛する上官を侮辱され、怒りを露わにする――――――私にとっては、彼女のほうがよっぽど人間として魅力的に見える。」





「あ………そ、それは………っ………。」





「―――――行きなさい、二度と彼女に関わるな。」







息を飲んで、２人の女性は脱兎のごとくその場を後にした。

そう、この人は――――――怖い。

振り返ったダミアンさんは、とても優しい目をしていた。




「―――――ナナさん、お久しぶりです。」



私の手を取り、その手の甲にキスをする。



「――――――また、助けられて……しまいました………。お恥ずかしい限りです……。」

「はは、あなたがカッとなっている様子が見えたもので。つい介入してしまいました。」

「―――――私は、成長していないですね………。」

「―――――そんなことはない。強さも、美しさもますます増して――――――こんな姿を見てしまったら、また毎夜君を想わずにいられない。」



赤面するようなセリフをいとも簡単に言ってのけるのは、貴族だからなのだろうか。いや、それは偏見なのだと思うけれど。

私は話題を変えたくて大きく頭を下げた。





「そ、そんなことよりも………っ……、その節は――――――弟の提案を受け入れて下さり、その後も力を貸して頂いていると聞いています。本当に、何と申し上げていいか――――――。」



「いえ、あれはロイ君と――――――ロイ君を救いだしたあなたの成果だ。こちらこそ感謝している。ありがとう。」