第4章 再会 ※
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「ねぇエルヴィン。」
「なんだ?」
執務室に諸用でやってきたハンジが、そうだ、とばかりにエルヴィンに話し掛ける。
「王都からの帰り道、リヴァイに意地悪言ったじゃない?」
「………なんのことだ?」
「とぼけないでよ。『私は、彼女を欲しいと思うぞ』『調査兵団にも必要だ』って言ったじゃない。『にも』なんて言っちゃったら、まるであなたが女性としてナナに惹かれていると公言したようなもんだよ。実際、リヴァイものすごく睨んでた。気付いてたでしょう?」
「さぁ……そうだったか。」
「リヴァイを、ナナをどうするつもりなの?」
ハンジは困ったように眉をひそめて問いかけた。
「人聞きが悪いな。どうするつもりもないぞ?全ては彼らの意志次第だろう。」
「………本当かな。あなたは時折、怖い眼をするから。」
「はは、私にとってそれは褒め言葉だぞ。」
エルヴィンの反応に、ハンジは呆れたようにして部屋を出た。
「…………リヴァイが自分の想いに気付いて彼女を手に入れたら、彼は変わる。そして気付かなければ、エルヴィンが彼女を手に入れる……。しっかり二段構えじゃないか………本当に、怖い人だ………。」
執務室の扉越しに、ハンジは呟いた。
「人の上に立たせるには………もう少し人間臭くなってもらわないとな。彼女はリヴァイを……調査兵団を変える鍵になる………。」
エルヴィンの眼が、何かを企てるように細められた。