第44章 The Gift for you
なんて心地良くて甘美な時間だったのだろう。
まるで、私が誕生日を祝ってもらったかのように大事に、慈しまれて、愛された感覚。
痛みを快感に塗り替えるのではなく、純粋に甘ったるい毒のような快楽だけを与え続けられ、何度も達してしまった。
今までリヴァイさんを受け入れた中で、嫌だとか辛いとかそんな思いは抱いたことはない。
けれど気を失った後に目を開けたとき、いつもリヴァイさんがどこか少し辛そうで、『お前を壊しそうな自分が怖い』と言った、あの言葉で全てが繋がった。
持て余す想いを、欲望を、愛を、どう伝えていいかわからなかったのだろうと思う。
そんなところまで含めてリヴァイさんを愛していることに変わりないけれど、彼が自分の意志で変わろうとしていることがわかるから。それが何より嬉しかった。
『愛している間だけでいい、その間は二度と背を向けないで』
その約束通り、甘く蕩けそうな情事の後、リヴァイさんは私を腕に抱いて眠っている。
私はこの幸せな甘美な余韻の中眠ってしまうことがもったいなくて眠れずにいた。静かな寝息を立てるその愛しい人は、こうしてその鋭い目を閉じていると、まるで少年のようだ。
唇をかすめるようにキスをして、その胸に顔を埋めると、掠れた声が私を呼んだ。
「――――ナナ、眠れないのか………?」
「……もったいなくて。ごめんなさい、起してしまいましたか?」
「いや、いい。―――――身体は辛くないか。」
「全く辛くないです。リヴァイさんが、大事に、してくれたから。」
私が笑うと、リヴァイさんも薄く笑って私の頭に顔を埋めた。
「―――――このまま明日なんて、来なきゃいいのにな。」
「え?」