第40章 甘露
次の日の朝日は、しばらく見ていなかったのかと思うほど眩しく見えた。
私は久方ぶりの兵服に袖を通すと、髪を高く結った。そこに、リヴァイさんのクラバットは結ばない。心のよりどころは、自分の中に作ると決めたから。
「あれ、兵長のクラバット結ぶのやめたの?」
「うん。汚れてしまったし―――――、お守りは、私の心の中にいてくれるから……いいの。」
「―――――そっか。じゃああたしのやった髪飾りを付ける番だ!」
「やだよ、大事なんだもん……!訓練中に壊れたりしたら……!」
「大丈夫だって!」
「もう……………ふふ、ありがとう。」
リンファは半ば無理矢理私の髪に石の飾りがついたヘアゴムを通した。私は困った顔をしつつも、なんだかとても嬉しかった。
「今日は朝から訓練出るの?」
「―――――ううん、午前中はエルヴィン団長に王都の様子や、家の事を報告しに行くの。午後からは不在にしていた分のカルテに目を通したり、医療班の子達の様子を見に行こうかと思って。」
「そっか。―――――いつものナナに戻ったね、安心した。」
「リンファのおかげだよ。」
私が言うと、リンファは美しい笑顔を向けてくれた。