第39章 認容
「―――――言われてない。むしろ………嫌いになることなんて、絶対にないから、苦しいなにかがあるなら、話せって……。」
「―――――ほら、兵長はただ、あんたが大事なだけなんだ、きっと。苦しめてる原因を知りたい、なんとかしてやりたいって思ってるんだよ。冷静になりな。―――――あんたが汚れたら捨ててやろうとか、そんなこと―――――決して思う人じゃないのは、ナナが一番良く知ってるはずだろ?」
「……………っ………!」
「―――――あんたはなにも、変わってない。だから、怖がらなくていい。」
リンファが私を柔らかく抱きしめてくれた。
「―――――兵長に嫌われたらって思うと、息ができなくなるくらい――――――好きなんだね。」
リンファの体温と清涼な香り、その言葉にまた私は恥ずかしいほど泣いた。
「――――――うん……っ……!」
「誰もそんなことで、あんたを嫌わない。ナナが言ったんだよ。何度でも清廉さを取り戻せるって。――――――あたしはその言葉に救われたから―――――、ナナも、傷つかないで欲しい。」
「うん……うん……っ……!リンファ………っ………!」
「―――――不謹慎だって怒らないでね。あたしは、あんたがこうやって頼ってくれて、すごく嬉しい。」
「リンファ…………側に、いてくれて……っ………ありがとう………っ……!」
それからリンファは、私が泣き止むまで抱きしめていてくれた。
胸につかえて呼吸を遮っていたなにかが、リンファに溶かされて流れていく。
私は、ようやく大きく息を吸い込むことができ、渦巻いていた黒いドロドロした思考が晴れて行く心地がした。