第39章 認容
私よりも高い体温を感じながら目を開けると、そこはリヴァイさんの腕の中だった。
今日なのか昨日なのか、私はいつまた気を失って、今は何時で、と分からないことだらけの中、唯一確かなのは、リヴァイさんの想いを、愛を、私は踏みにじるようなことをしてしまってひどく傷付けたということだ。
見上げたその愛しい人の唇には、噛みしめて切れてしまった傷跡が残っている。
意識を失う最後に覚えているのは、今まで一度も見た事のない、リヴァイさんの切なく苦しそうな、やり場のない感情をどうしていいかわからない、そんな表情だった。
あんな顔をさせたくなかった。嘘の一つもうまくつけない自分が、心底嫌になる。
唇の傷跡をそっと指でなぞり、小さく呟く。
「………ごめ…ん…なさ…………。」
いつもは幸せな情事のあとの甘い気だるさが、全く別の痛みと息苦しさとして私を襲う。
ロイに無理矢理奪われたあの時よりも、私の心ははるかに削られていた。
息苦しさと下腹部の痛みに思わず蹲りながら真紅のシーツで身を庇い、リヴァイさんに背を向けて小さくすすり泣いた。
「…………ぅ…………。」
押し殺した声が小さく漏れた瞬間、肩を強く引かれた。
「―――――おい、どうした。どこか痛むのか………?!」
瞬間目が合ったリヴァイさんの表情は、焦りと心配と罪悪感が入り混じっているように見えた。
私は咄嗟に目を伏せてシーツの中に逃げるようにして隠れた。
「ナナ…………。」
リヴァイさんの手がシーツ越しの身体に優しく触れる。