第37章 哀悼
「社会勉強―――――と、もう一つ。お前にしかできない任務だ――――――俺を満たせ。」
「………こじつけ………。」
「あ?こじつけでもなんでもするに決まってんだろ、何か月も待たせやがって。絶対的にお前が足りてねぇ。」
困ったように俯き、どこか抵抗の様子を見せるナナの顔を覗き込んで頬に手を添え、甘えた視線を送る。
「――――――ナナ。」
ナナは目を逸らして抵抗するが、指で顎をすくってこちらを向かせると、視線が絡んだ瞬間――――――観念したように、目を潤ませて少し細め、唇を少し開いた。
「その顔は、合意したと見なす。」
早い呼吸を遮るように、今度は深くその唇の奥に舌を差し込み、ナナの舌を絡めとると、唾液をかき混ぜる水音が鳴る。
「――――――っ……ふっ…ぁ………リ、ヴァ……っ……!」
唇を離すとナナは力なく俺に身体を預けた。
俺はナナの手を引いて、足早に生まれた家を出た。
もう二度とここに来ることはないだろう、そう思いながら。
振り返ることはしなかった。