第34章 奇行
物資を補給して目的地に着くころには、日が暮れていた。
やがて辺りを照らす満月が浮かび、ようやく巨人を気にせずに事を運べる時間になった。
3人は辺りの見張り、そして6人で交代しながら深い穴を掘った。その穴に4本の鋼鉄の梁を突き立てる。
奇行種を繋ぎ止めるための梁だ。
「はぁっ…………やっと、これで……終わりだ!!」
「よっ、新兵らしくよく働くじゃないかオルオ!」
ハンジさんに背中をバシッと叩かれた。
2時間近く馬を走らせて、物資を積み込んで、また馬を走らせて……着いたと思ったらこの重労働だ。まったくどんな作戦なんだよ。まぁ、ここまで移動中に巨人の襲撃を受けなかったことは幸いだった。
俺ははぁーーーっと大きくため息をついて座り込んだ。
「き、キツイな……身体バキバキ………。」
「あ、あたしも………。」
サッシュさんやリンファさんも疲労困憊の様子だ。
「いやぁみんなご苦労さん!さぁ、束の間の休息にしよう!明日の朝日が昇れば、いよいよ可愛い奇行種ちゃんを捕獲しに行かなくちゃならないからね!」
俺たちはたき火を囲んで、束の間の休息をとった。