第33章 宥和
「―――――――僕は…………謝りたい………。」
「それなら、心のままに伝えればいいんですよ。」
ハルは笑った。
「ハル…………酷い、ことを……っ……して、ごめんなさい………っ………!」
「ごめんなさいでは、済みません。」
ハルは毅然とした態度できっぱり言い切った。
いやそりゃわかっていたけど、確かにそうだけど………僕は少しやりきれなくて悪態をついてみる。
「………いや、だから聞いたのに………。」
僕の悪態に、ふふっとハルは小さく笑って、僕をまっすぐに見つめた。
「―――――ずっと、見てますよ。」
「え?」
「あなたがこれからどう生きるのか。今謝ったことを――――――過ちを繰り返さずに成長していく姿を、私はずっと見ています。」
「それは、これからも僕の側にいてくれるということ――――――?」
ハルは、少し驚いた顔をして、すぐにまた笑った。
「当たり前じゃないですか。私の職まで奪う意地悪をするおつもりですか?」
嬉しくても涙が出ることを、僕は初めて知った。
ハルは僕の頭を撫でて、僕が再び眠るまで、ずっとその瞳に僕を映してくれていた。
心の芯がぽかぽかしてくる。
不安など感じることもなく、それは確信に変わった。
―――――――僕は、愛されている。