第31章 罪
「なに。どうしたの。」
「あの可愛かったロイが、そんな性的な冗談言うなんて………ちょっと姉さんショックだな……。」
「………僕もう十六だよ。それに姉さんだって調査兵団でしれっと処女喪失してるじゃな……。」
「うわーーーーーーーーっ!!!!」
顔を真っ赤にして僕の言葉を掻き消す姉さんが面白くて、今度こそ僕は笑ってしまった。
「ねぇ、キモチイイ?セックスって。」
「………っ………ロイ!!」
ニヤニヤしながらその反応を楽しむために卑猥な質問をすると、姉さんは顔を真っ赤にして僕をばしばしと叩いて来る。
姉さんとこんな意味もないふざけたやりとりをしたのは、生まれて初めてだ。
それから姉さんは宣言どおり、ずっとずっと僕の側にいた。
食事を食べさせ、着替えを手伝い、包帯を替えるのも、診察ももちろん姉さんだ。
こんなことでほだされるほど、僕を形作る歪な過去は軽いものじゃないけれど―――――――
毎日姉さんの瞳に僕だけが映る。
この日々は、決して悪くない。