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【進撃の巨人】片翼のきみと

第30章 公爵




言われたとおり湯を浴び、豪華なベッドに潜り込む。
今日の出来事とダミアンさんの言葉やロイのことが繰り返し頭の中を駆け巡る。



「―――――リヴァイ、さん………。」



彼の名が無意識に口から発され、自分でも驚く。
その声は切なく苦しそうで、どこか色をまとっていた。

今思い返せば、何も考えたくない時私は決まってリヴァイさんの部屋を訪ねていた。

全てを壊してリヴァイさんの色に染められることで、何度救われていたのだろう。





リヴァイさんの腕と体温を思い返しながら、頼りない自分の腕で自身の身体をぎゅっと抱いて、なんとか眠りについた。







翌朝、あまり眠れなかったからか、どんよりと重い頭のまま豪勢な朝食にほんの少しだけ手をつけた。

帰りの馬車に乗り込む前に、ダミアンさんから耳打ちをされる。



「――――――紳士的に帰せるのは今回だけです。くれぐれも、お気をつけて。」



彼の真意の全てはわからない。
エルヴィン団長と同じで、私が想像すら及ばないことを考えている人だ。だからダミアンさんの言う事をすべてはもちろん間に受けない。


虚偽と真実が織り交ざった中から、何を信じて私は何をするのか―――――――馬車に揺られながら、そればかり反芻して考えていた。

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